シベリアの虎

2014年02月08日 21:40

空は見渡す限り、晴天。
 雲ひとつ無い。
ところがどうだろう・・
どうやら
友人の地域は大雪らしい。
思い出す40年前の今頃
高校生の1年生の俺は
友達3人と朝方まで麻雀をやっていた。
石油スト-ブで
夜食のインスタント・ラ-メンを
作りながら。
外に出たら、
くるぶしまで雪が積もっていた。
記憶の中で、
あれが博多で一番、雪が降った日だ。
今でもそう思っている。
以来、
あまり雪が積もった記憶が無い。
残念ながら。
5年前、
親父の故郷、秋月に正月2日に行った。
親父の友人の寺は山の中にあり、
その日は凄い雪だった。
車を置いて親父は言った。 
"これから先は歩いていく。 
シベリアと思えば、そんなにたいした事は無い"
最近は
足が痛い、膝が痛いと
元気のなかった親父だったが、
この日は違った。
小さな後ろ姿がたくましく見えた。
"ザク、ザク、ザク" 
膝まで積もった雪の中を、
スイスイ歩いていく。
お袋は、
甘木の自転車屋のお嬢さん。
"もう私は行かんよ・・・・
ここで待っとくけんね! 
あんた達だけで行きんしゃい
もう、疲れた・・・・"
ところが、
日ごろこんな行事に顔も出さない、
姪の「はるか」。
"おばあちゃん、頑張るよ!
おじいちゃんも、頑張りよっちゃけん、さぁ!"
上さん、俺、親父、お袋、姪のはるか。
どうにか、
山の上にあるお寺に辿り着いた。
"よう来んしゃった。
熱い蕎麦でも食べんしゃらんですか。
お参りはそれからで、・・"
そうだ。
あの蕎麦の味が忘れられない。
あの時の、
あの味を超える、
蕎麦には今も出会えない。

 山部"YAMAZEN"善次郎