「こんな寒い日は・・・」
外は雨。
3月の頭ぐらいに冷え込む朝。
新聞配達は相変わらず
俺よりも起きるのが遅い。
スタジオには埃被ったスピ-カ-。
誰にも見せられないエロ本。
カビの生えた緑色の皮ジャン。
若い奴らが作ったパネルが20枚。
何でもいただきましょう。
息を吹き込みましょう。
感度は抜群。
おい!
お前達の仲間が増えたぞ。
40年物のパイオニアスピ-カ-と
25年物のJBLが喜んでいる。
ゴミ置き場に放置されていた
YAMAHAのFOLK GUITERと
スピーカー。
冷たい雑巾で埃を拭けば、
これがなかなかの美男子。
ネックの多少の反りなどご愛嬌。
No Problem!
俺は
リ-ド・ギタリストじゃありません。
コ-ドさえ弾ければそれで十分。
新しい弦を張れば
それはもう
一流楽器店に陳列される程の
立派なもの。
音も年季が入っていますぜ、
お客さん!
只今、
24発のスピ-カ-が、
俺のアトリエで鳴っている。
STONESをアナログ盤で聴きましょう。
"JUMPING EDWARDS"
イアン・スチュワ-トのPIANOが、
ライ・ク-ダ-の
ボトル・ネックが鳴ってます。
"MICK、HARPが下手だな・・・。
"CHARIE、もっとスピ-ド上げて・・・。
"KIETHは? 只今ぶっ飛び中!
みんな、CDも便利だけど、
心の贅沢してみませんか?
時間に縛られず
レコ-ド盤に針を落としてみませんか?
多少のノイズ、かまいません。
それが、その時の思い出。
古い時計のように、
ネジを巻いてみませんか?
心が温かくなる。
こんな寒い日は・・・