「キツツキ・ヘアーの男」
俺、随分酔ってるけど・・・
もう少し,強い奴を一杯くれ。
その昔、俺はBASSを弾いていたんだ。
歌は、ガカガラ声の大きな男で
大の女好きだったよ。
太鼓の奴は甘いマスク、
ゴキゲンなBEATを刻んでいた。
この4人でアメリカの、
フィルモア・ウェストにも出演したよ。
結果、ギタ-の親分がBIKE事故で
アルバム二枚出して解散・・・・
キツツキ頭のガラガラ声のアイツと、
ブラブラしてたら、
「小さい顔」と言うBANDから、
二人まとめてお呼びがかかってさ~
何と、
この俺にギタ-を弾けという・・・。。
近くの行きつけのPUBで、
ガラガラ野郎と祝杯を上げたものさ。
すまないな・・。
バ-ボン、瓶ごとよこしてくれ。
ノッポのガラガラ野郎と
そこそこ酒の飲める
中柄の俺が入ったもんで、
BANDの名前も、
ただの「顔」と改めやがった。
皆、背は小さいが才能があるし、
"大の大酒飲み"って事で、
意気投合したね。
アルバム4枚。
俺の最高のル-ズなギタ-が聴ける
最高傑作だ。
あんたらの国、JAPANにも、
TOURで行った事がある。
そうだ!BASSが、
それこそJAPANの「TETSU」に変わってね。
凄い盛り上がりだったよ。
だから、俺の出番も必然的に
無いわけで・・・
丁度、そのころイギリスに帰って
とあるPARTYに顔を出したんだが、
あの天下のMICKから相談を受けたんだ。
そう!あのSTONESだぜ!
どうやら、
ミック・テ-ラ-が辞めるとかで、
"なぁ~考えてくれないか?
キ-スの喜ぶ顔が目に浮かぶぜ・・"。
それから先のことは記憶に無い。
随分、深酒してたしな・・・。
昔なじみの、
ガラガラ野郎との最後のアメリカ・ツア-も、
やらなきゃいけなかったし、
その上MICKは強引に
レコ-デイグに来いと言う。
その頃の俺って、
頭の中がもうぐちゃぐちゃでさ。.、
毎晩、
いやステ-ジの上でも
酒を飲みっぱなしだった。
STONESの目に見えない重圧。
リード・ギタ-リストなのに、
サイドメンに徹しなきゃいけない辛さ。
飲んだね・・飲んだ!浴びるくらい。
結局STONESに入ったおかげで、
アルコ-ル依存症になったようなものさ。
今じゃ すっかりアル中だけどね・・・。
ねぇ君・・・"日本酒"がいいなぁ。。
頼むぜ、一本だけつけてくれないか、
喉が焼けるような熱燗を・・・・。
MICKから言われたよ。
"ロニ-、
STONESを取るか、酒をやめるか、
自分で決めるんだ。
これが最後の俺からの言葉だ。”
何回か施設に入って
アルコールから手を切ったものの
また手を出してと、
そんな事の繰り返し。
でも、俺も馬鹿じゃない。
今じゃこの通りさ、
JAPANで会おうな。