「蛍のしっぽ」
夜、
自分の家から海の見える公園まで
散歩する。
博多も裏道を歩けば、
まだまだ風情があっていい。
ところが
最近気になり始めた事がある。
自動販売機が異常に多い。
以前から気付いてはいたが、
まるで、
毒キノコのように乱立してる。
"暗い夜道には気をつけましょう"
確かに明るくていいが、
往復一時間半の散歩コ-スで、
何人が缶コ-ヒ-を買うのだろう。
眠らない自動販売機。
小銭の落ちる音や
缶コ-ヒ-がガラガラと落ちる音も、
今まで聞いたことが無い。
無灯火の自転車に乗った
日焼けした老人が、
カンカンをひっくり返す音を
聞いたくらいだ。
家に帰り着くまで、
ざっと見積もって
40台の自動販売機を見かけた。
乱立するコンビニエンスストア。
一ヶ月前に見かけた
店は閉ざされ、
別の場所に新しく灯がともる。
誰も居ない店内。
騒がしい場所は限られてる。
夜は、眠るものだ。
俺が20代の頃は
そんな店はなかった。
せいぜい開いていても
夜の11時迄だ。
品揃えもそこそこで
冷めた弁当を食っていた。
今じゃ
手に入らないものは無いくらい
立派なものが並んでいる。
その昔、
某大手飲料水会社の
自動販売機を2台
自宅下に設置していたが、
隣のアパ-トの住民から、
モ-タ-の音が煩いとクレームが来るわ
自分達さえも、
その騒音で眠れない日々が続き
結局、二台とも撤去してもらった。
確かに、
表通りから入り込んだ
この辺りは暗い。
公園も暗かった。
だが時々、
自動販売機が可哀相になる。
たったひとりで客を待ち続け、
誰も来ない夜を過ごす。
あまりにも、寂しくないかい。
ふと、秋月で見た
蛍の光を思い出した。
心温まる、自然な優しい明るさだ。
電気の無駄使いは止めましょう。
おっと、
そう言う俺も、
朝からコンピュ-タ-電源を
入れっぱなしだぜ!