「オンボロCADILLAC」

2014年07月05日 21:29

3時にVOO DOOに行くと、
リハは既に始まっていた。
俺が入り口を間違ったのか
音楽が違う。
そうだろう・・・
ブ-スカのBANDのリハだった。
26年程前から何度となく
アンジーとは競演している。

隣のブ-スからの音の様だ
自動ドアを開けると
梶浦がセッティングも済ませ
音リハをやっていた。
"山部さん、今夜お願いしときますよ!"
今夜のイベントの仕掛け人
渡辺圭一だ。
女泣かせの低い声で
俺の耳元につぶやいた。
"松永はどげんしたとや~~!?"
振り返ると松永も
ステ-ジの上でスタンバっていた。

一昨日の最初で最後のリハを
確認するかのように
黙々とリハは進んでいった。

刺青を入れた
VOO DOOの太った小屋敷が
不気味な笑いで冷えた水を持ってきた。
"山善さん、水かぶりませんか?"。
俺は心の中でつぶやいた
"冗談きついぜ小屋敷!
リハでかぶって心臓麻痺でも起こしたら
どげんするとや!?はがいか!"

リハも終わり
"夜の11時やね!?"
"そうですねぇ・・そのあたりで。
もしかしたら押すかもしれませんけど
でも帰ったらイカンですよ、山部さん!"
"冗談きついぜ梶浦!
俺は請けた仕事はちゃんとやる。
そう言うお前もだろう?"
呟きながらエレベ-タ-に乗り
白昼の天神3丁目に飛び出した。

"せっかく天神に来たんだ。
JUKE RECORDの
康ちゃんの顔でも見ていこう。
7月の皮ジャンは重くて暑い。
しかし格好付けてなんぼ。"
重い足を引きずりながら
JUKE RECORDの階段を登る。

DOORを開けるとブ-スカが。
"さっきリハ見てましたよ"
"何事ね山部は?"と康ちゃん。
"俺ですか、
ブ-スカと同じイベントに出るとですよ"
"松本さん、
良かったら遊びに来てくださいよ!"
"悪いね~俺は見に行かん。
2人に悪いけど・・"

ドクロの中に貯めていた小銭、
5千円程ポケットに入れていた。
4千円程度買い、
"じゃ~山善!後で!"
"じゃ!いつも同じ時間帯やけん
お互いのステージが見られんねぇ"

天神3丁目の駐車場は出るのが大変。
肩が外れるくらい
何度もハンドルを切り返した。
吹き出す汗。
そう簡単にク-ラ-は利かない。
20度全開。
おまけに料金所の機械が壊れて
余分に400円も払う始末。
JUKEでまけてもらったのが
これで水の泡。はがいか!

よーし!仕切りなおしだ。
昼飯でも食って、ひと寝入り。
出直して来るぜ。

YAMAZEN&CADILLACS
オンボロなんだよ
この俺は。