「また奴からの電話、TELEPHONE CALL」
「お久しぶりです!先輩」
ROCKBANDの後輩から
突然のTELEPONE CALL。
やって来ました、博多駅。
「何、飲みます?」
「ビールはいらんじぇ~
昨日も飲み会やったけん。」
「ソッスか~」
「中垣、ハイボ-ル二杯!」
「山善さすが!
ギタ-持っとうじゃありませんか」
「当たり前たい。中垣の屋台のお祝いで
唄うちゃろうと思うてからくさ」
カポも持って来とうじぇ~」
「はい一丁あがり、モツ炒め!」
「山善!唄ってくださいよ・・・」
「NAOKI、
お前、もう酔うとろう?
目が座っとうじぇ。
ちょっと待っときやい、
ハイ・ボ-ルば頼んどろうが。
しかしこの屋台、外人の多かねぇ~
あんた何人?」
「私?ポ-ランド人。
でも広島6年、大阪2年、今博多!」
「で、そこのあんたは何人?」
「私?ですか?フィンランド人です。
今、黒崎住んでます。」
「何や?
皆、日本語喋られるやないや!」
「変わった屋台でしょ?」
「ところで、あなた何人ですか?」
「俺、日本人やけどメキシコ系やね」
「奥さんは?」
「イタリア人たい」
「何処ですか?生まれ」
「ミラノ、やもんね?」
「そうそう・・・」
「そうですか
ミラノですか。いい町ですね、
私ボロ-ニアにも行った事ありますね~」
「山善、唄うてくださいよ。
外人にぶちかましてくださいよ」
「ちょっと待ちやい。
その前に煙草ば吸わしやい。
お前くさ先輩ば呼び出しといて
いきなり唄えてや。はがいか!」
『テネシ-・ワルツ』
『HONKEYTONK WOMEN』
『SOMETHING』
『甘いワインの行方』『HEY JOE』
奥の彼女、ハイテンション。
英語ペラペラ酒でドロドロ。
「DRIVE MY CAR唄ってぇ~!」
「ゴメン。今度練習しとく」
隣のフィンランド人
年を聞くと22歳。若い。
「今夜の博多楽しいね・・・」
ご機嫌でギタ-を弾きだす。下手。
ばってん
俺の息子達より上手い。はがいか!
後ろのビルの照明が消え、
一気に暗くなる。
しかし人通りは多い。
「スミマセン!空いてますかー?」
「・・・また来ます~」
外人とギタ-で唄うお客達。
定員満タン。
惜しい事したな、中垣。
頑張りやい。
お前はこげな客商売が合うとうじぇ!
何がスーツ着て保険会社や。
辞めとけ、辞めとけ。
一つ、お願いがある。
刺身が喰いたい。それもお前が釣った魚。
無理か、屋台じゃ・・・。