PUNKの夜明け

2014年06月17日 15:03

1977年の夏、
俺達は彷徨っていた。
行き先もわからず
ただ彷徨っていた・・・。

この町一番の商店街から流れる
気の抜けたけだるい曲。
「HOTEL CALIFORNIA」
死にそうだぜ・・こんな曲。
倒れそうになりながら
いつもの楽器屋へ。
ここにもあったぜEAGLES。
死にたくなって隣の本屋へ。
ブスなグラビアお姉ちゃん達を横目に
何気なく真ん中のペ-ジを開いた。
"オッ!"
思わず声が出た。
イギリスのハイド・パ-クを
野良犬のように歩いてる4人組。
"これかぁ・・
例のSEX PISTLESってのは・・・"

一発で気に入った。
俺達は、
この写真に何かを感じた。
空かさずレコ-ド屋へ
"SEX PISTLESのレコ-ドある?"
"あるけど、たった4枚だけ。
それもシングル盤"
"えぇ~!?たった4枚だけ!?"
"イギリスからの直輸入盤だから。
そしてあんた達の先輩
○○○○○のメンバ-が
キ-プしとんしゃぁ~とよ"
"よかよか!
今なら俺達、金持っとうけん。"

誰かの部屋で、
そのシングル盤を皆で聴いた。
実にヘタクソな演奏だった。
歌も歌じゃなかった。
"ヘタかぁ~ 
俺達の方がよっぽど上手いぜ!"
そのシングル盤こそが
「PRETTY VACANT」だった。

翌日10時半。
いつもの練習STUDIOがあるビルの前に
皆が集まった。
安全ピン、Gパンを破いた奴、
首に犬の首輪をつけた奴
頭を金髪にした奴。
PUNKの夜明けは
これからまだずっと先になるが
俺達は既にPUNKしていた。
怒り、
爆発、
鬱憤、
罵り。
とにかく俺達は
世間に対して怒っていた。

あれから36年。
お互い年を取った。
でも、
まだまだ若い奴らにゃ負けない。
そう自負している。
それは勘違いかもしれない。
でもまぁ~見てくれ、聞いてくれ。
年老いたPUNK ROCKERの生き様を・・。